telling連載「ランプ片手に夜登山のススメ」
自分の考え方を根本から変えてくれた夜登山。特に初めて一人で真っ暗な登山口に入る瞬間は、「飛び込む」という表現がぴったりのまさにダイブだった。
しかしその後、不思議な体験が待っていた。夜の山の中はまったく怖くなかった。これは言葉では伝わらない。とにかく怖くなかった。
ただ、人だけが怖い。すれ違う時はお互い「どうもスミマセン」と笑顔で挨拶するものの、いまだに慣れない。人は怖い。暗闇は怖くない。夜の登山口の怖さは、たぶんそこに人の気配が残っているからだ。
構成・編集・イラスト: コヤナギユウ